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福岡県筑後市の動物病院『わかな動物病院』です

学会に参加しました。

2017-11-29

こんにちは。院長の藤井です。

先日、大阪で開催された「第38回動物臨床医学会」に参加して来ました。

獣医療に関する最新の知見や新しい医療機器やフードに関する情報など、様々な知識を得ることができ、非常に有意義な時間となりました。

その中でも、特に気になった情報をご紹介します。

ワンちゃんの悪性腫瘍の中で一番多いのが乳腺腫瘍であり、早期に避妊手術を行うとその発生率が低下することが知られています。

欧米では、悪性と良性の割合が概ね半々といわれていますが、最近の日本のデータでは悪性の方が少し低いようです。乳腺腫瘍は他の皮膚のしこりのように、院内の簡易検査で良性、悪性の判断がつきにくいものなので、基本的には手術で切除して、病理組織診断が必要です。悪性腫瘍の目安としては、①1cmを越えるもの、②皮膚側に固着しているもの、③大きさの割に潰瘍を形成しているもの、などがあります。

「胸に小さなしこりがあるので、すぐ手術しよう」、というのはなかなかハードルが高いと思いますが、何も症状がないからと様子を見ていると、その他の臓器に転移して手遅れになるケースがあります。

気になるしこりがある場合は、お早めにご相談ください。

高齢のネコちゃんで問題になるのが、慢性腎不全です。ネコちゃんの慢性腎不全の病態は犬や人と違って、尿細管がダメージを受けることが多いようです。高血圧と尿タンパクの管理が重要で、食事療法が必要になります。しかし腎不全用のフードは嗜好性が落ちるのでなかなか食べてくれないことが多いのですが、食事を取らないと脱水を起こす場合があり、この脱水も腎臓にダメージを与えます。食べない腎不全用のフードを無理やり続けるよりは、食べるなら普通のキャットフードでも食べてもらったほうがまだ良いそうです。


臨時休診をいただいたことで、患者の皆様にはご迷惑をおかけしましたが、この学会で得た様々な知識を、これからの日々の診療で還元していきたいと考えております。

今後とも、よろしくお願いします。